ロシア文学読書会~ミーチャの愛~

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第四回 МИТИНА ЛЮБОВЬ

原文はこちら И. А. Бунин. Митина любовь. Текст произведения. IV (ilibrary.ru)

 

彼女は全く変わってしまった。
試験の成功は多くを意味していた。それでもやはり、それと、何かしら他の理由が存在していた。
 
なんと素早く、春の訪れと共にカーチャは変貌してしまったことか。派手に着飾り、いつでもどこかしらへ急いでいる若いソヴィエト婦人のように。彼女がやってくると(今や彼女は徒歩ではなくいつも乗り物に乗って移動してくるのであった)ミーチャは自分の暗い廊下の為に今やただ恥ずかしくなるのであった。そう、それは彼女が顔にベールを降ろし、ショールをやかましく揺らして、その廊下を颯爽と通っていく時なのである。今や彼女はいつだって彼に優しく、しかし、いつだって逢引に送れて来、それを早く切り上げるのだった。言うなれば、彼女は再度母親と一緒に裁縫師の所へ行く必要があったのである。

 

「(私たちは)めかしこむのに夢中なだけなのよ、分かるでしょ!」と彼女は言いました。丸く、驚くほどきらきらと輝く彼女の目はミティアが彼女を信じていないことを完全に理解しながら、それでもやはり話しながらいた、何しろ今ではそのことに関する会話ではなくなっていたから。
そして今、彼女は帽子を脱ぐことはほとんどなく、傘を手放すこともなく、飛びはねながらミーチャのベッドに座って、シルクのストッキングで覆われたふくらはぎで彼を狂わせた。


そして去る前に、今晩、彼女は家に帰らないと言った。
「もう一度、母と一緒にあるひとに会う必要があるの!」
彼女はいつも同じことをした、明らかに彼を愚弄する目的で、彼女が、「愚かなこと」と言い表した彼のすべてに苦痛を与えた。彼女は泥棒にでもなったかのように、ドアをちらりと見下ろし、ベッドから腰をすべらせ、急いで囁いた。
「ねえ、キスして!」